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【東北訪問のご報告と寄付のお願い】〜東日本大震災を忘れないで〜

いつもご支援をありがとうございます。

2011年の年末にあたり、先日、東北を訪れてのご報告をさせていただきます。

キッズドアでは4月より東北地方の子どもたちの支援を開始し、6月からは仙台に「キッズドア東北」事務所を構え、常駐スタッフを派遣して、子どもたちの遊びの支援、小学生、中学生の学習支援、そして心のケアの活動を継続的に行っています。(詳しくは キッズドア復興ネット http://kidsdoor-fukko.net/をご覧ください)

同時に、東京に避難されている子育て家庭の方々の支援も、避難所でのキッズルーム、学習室の運営から夏休みのキャンプ、秋以降の学習支援、お母様方の茶話会、そして孤立化を防ぐためのニューズレターの発行などを行っています。

加えて、2009年から行っている教育格差の是正のための小中高生の学習支援や児童養護施設、母子生活支援施設での学習支援などもあり、今年はスタッフ一同とても忙しい1年でした。

私も、「東北に行かなければ」と思いつつ、ようやく東北の地に足を踏み入れたのは、先週でした。
16日に仙台で、東北スタッフと合流し、その後、南三陸町の戸倉中学校の学習支援の現場を見て、仙台に戻り、翌日は、25日から東北だけでも3県6か所で開催する冬期講習に参加してくれるボランティアさんのための研修を見た後、釜石へ。
翌日、釜石の町をタクシーで回った後、NHK復興カレッジに出演させていただきました。

◆ いまだに残る津波の痕

3月11日から9ヶ月以上が過ぎていますが、南三陸町も釜石市も、町の中には、まだまだ、解体待ちの建物が残っており、廃車となった車はブロックのように積み上げられたままです。

私たちが4月から支援をさせていただいている戸倉小学校は、本当に海沿いにあり、校舎が流された跡があるばかりでした。

「学校から裏の山に逃げた」ということですが、津波到達までわずか15分ほどという短い時間に、全児童を避難させたということは、本当に「奇跡」としかいいようがありません。逃げながら、校舎が流される様子を見ていた子どもたち、先生方の心情は計り知れません。

釜石の駅前商店街は、「2週間前に津波が来た」と言われてもおかしくないほど、無惨な姿が連なっていました。しかし、津波の直後は、商店街の道という道をがれきが1メートルも2メートルも埋め尽くしたそうです。学校の先生方は、その道のない道を、がれきを踏み越えながら1週間以上避難所を回り、生徒の確認をとったそうです。自らも被災されている先生も多い中、生徒への思い、責任感には頭が下がるばかりです。

◆ 普通の学校生活とは程遠い現状

戸倉小学校、戸倉中学校は校舎が使えなくなってしまったので、現在は隣の登米市の廃校になった小学校を使って学校を再開していますが、来年度もそこが使えるかどうかわからない、また違う学校に間借りをすることになるかも、ということです。

釜石でも、間借りをしている学校や、校舎が使えず、体育館で全学年が授業をしている学校があります。
仮設住宅は、狭く、家で勉強したくても机も置けません。一人分の教科書を拡げれば一杯になってしまうような小さなテーブルでは、兄弟そろって机に向うことができません。さらに、隣家と近いために夜遅くまで電気をつけることがはばかられます。

「(電気をつけるのを遠慮するので)学校から帰って来たら、ご飯を食べて、お風呂に入って、寝るしかないので、勉強はあまりできません。」
このような生活がいつまで続くのが、まったく見通しが立っていないのです。

復興カレッジでご一緒させていただいた あしなが育英会チーフディレクターで、阪神淡路大震災では遺児孤児のためのレンボーハウスを作られた八木俊介さんが
心のケアはとても大事ですが、心のケアというものは、そもそも衣食住が整って初めて機能するのです。ある方が『仮設なんていうのは家じゃないんだ』とおっしゃっていました。体育館で授業をするなんて、まだまだ普通じゃないんです。まずは人間的な暮らしを取り戻す、それをもっともっと訴えていかなければならない」とおっしゃられていました。

◆ 先の見えない暮らし、親も子も不安と闘う日々

福島には行けていませんが、東京に避難されている福島からいらした母子の方のご苦労を見ていると、本当にどうしていいのかわかりません。

何も悪いことをしていないのに、突然の、母子生活。仕事のため、生活のために夫を福島に残す罪悪感。経済的にも体力的にも、何よりも精神的にも大変厳しい生活を余儀なくされています。
避難生活が長引けば長引くほど、親も子もストレスが積み重なっていきます。

東日本大震災から9ヶ月以上が過ぎ、日に日に皆様の心から、その関心が薄れてしまうことが、何より恐ろしいと、被災された方々は皆さんおっしゃいます。

東日本大震災の被害は今も現在進行形で続いています。行政サイドでは復興計画が進んでいるのかもしれませんが、現地で暮らす住民の方々は、先がまったく見えない暮らしの中で、日に日に増すつらさと戦っているのが現実です。
これから寒くなる、雪が降る、不安ばかりが募る毎日なのです。

復興カレッジにいらしたお母様が、涙ながらに質問してくださいました。
「自分の息子は中学3年生ですが、今になって震災PTSDが出て来て、勉強も手が付かない、学校にも行けたり、行けなかったりという状態です。将来の夢があり、それに向って一生懸命勉強していたのに。受験も迫っているのに・・・」
そのような方になんとお答えすればいいのでしょう。

私はただ
「あきらめないでください。私たちも支援をあきらめません。高校受験がうまくいかなくたって、いくらでも挽回ができます。気を長く持って、あせらずがんばりましょう」と励ますしかありませんでした。

そして、同じお母様がこうもおっしゃるのです。
「息子が通う中学校にもたくさんのご寄付をいただき、今は家庭に集金をしなくても良いようになっています。本当にありがとうございます。この場を借りて、お礼を申し上げます。」

もし、同じ立場に立った時、私は同じことがいえるだろうか?
苦境を、理不尽さを訴えてしまうのでは、と深く考えてしまいました。

◆ 継続した学習支援・進学支援の必要性

阪神淡路大震災でも、震災PTSDに苦しむ子は、2年目、3年目が多かったということです。八木さんも
「とにかく子どもの支援は継続することが大切なのです。10年20年の支援が必要です。」とおっしゃっています。

復興カレッジのために、NHKの方が、釜石市の小中学校の校長先生にアンケートを取ってくださったのですが、皆さんが上げられていたのが
「これから長期的な経済的な支援が必要だ」
「家庭に教材費等の負担をさせられない。どうしたらいいんだろう」ということです。

私も審査員をさせていただいている被災した高校生のための給付型奨学金「まなべる基金」 には、1000名の募集に対して2700名近くの応募があったそうです。高校に行く事さえ大変な子どもがたくさんいるのです。

「震災のために、高校に行けなかった」
そんな子を出して良いのでしょうか?

◆ たくさんの皆様のご協力でできる支援

今日から明日にかけて、岩手、宮城、福島の6か所で無料の冬期講習が始まります。実施にあたっては、たくさんの財団、企業、そして個人の方から資金的援助、物質的援助をいただきました。
(詳細はコチラ http://kidsdoor-fukko.net/?page_id=1226)

また、子どもたちの指導にあたるのは、総勢75名以上の学生ボランティア、社会人ボランティアの方々です。説明会や研修会を経て、東京はもちろん、遠くは関西からも駆けつけてくださる方々がいらっしゃいます。

東北のスタッフは連日、教材準備、ボランティアの交通や宿泊の手配、そして冬期講習に参加するご家庭への連絡と深夜まで準備をしてきました。

キッズドアの学習支援は、マンツーマンや少人数での指導を重視しています。冬期講習は、学力の向上はもちろんですが、被災後、元気のない子どもたちに、温かい心を持ったいろいろな学生、社会人が、子どもたちとたっぷり向き合うことが何より大切だと思っています。震災後、親も地域の大人も、みなさん生活の再建に忙しく、気になっていても、子どもの相手をする余裕がありません。子どもと向き合う心の余裕がない方もたくさんいらっしゃるでしょう。

そういう方々に変わって、子どもたちの隣にいる。じっくり向き合う。勉強の話じゃなくても、アイドルの話でもゲームの話でも、部活の話でもいい。そういう話を聞く事も大事にしています。

生徒が参加している学校の先生からも
「わからないところを、わかるまで教えてくれるので楽しく勉強できた」
「勉強だけじゃなくて、グループワークが楽しい」
「違う学校の子もいるので、刺激になる」
などうれしい評価をいただいています。

冬期講習が終っても、継続して支援をして欲しいというお声をたくさんいただいています。
「来年の中3は大変ですよ」
とすでに、来年度のお話をいただいている学校もあります。
そのためには、たくさんのボランティアの方々が必要です。
私たちの活動には、資金が必要です。

キッズドアでは、ご要望の多かった、マンスリーサポート制度を先日ようやくスタートすることができました。
http://www.kidsdoor.net/otona/kifu_monthly.html

月々1000円からクレジットカードの自動引き落としでキッズドアにご寄付いただけます。
毎月3000円で、一人の生徒が学習支援を受け続けることができます。
毎月は大変という方には、1口3000円からクレジットカード寄付もできます。
http://www.kidsdoor.net/otona/kifu_sum.html

これからが本番の東日本大震災で被災した子どもたちのために、皆様の暖かいご支援を何とぞよろしくお願いいたします。

そして何より、皆様の心にいつまでも、東北の子どもたちを応援するお気持ちをお持ちいただけますよう、何とぞよろしくお願いいたします。

 

特定非営利活動法人キッズドア
理事長 渡辺由美子

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