つなぐ棚田遺産で農業体験(キッズドア食育プロジェクト)

現在キッズドアでは、「消費・安全対策交付金のうち地域での食育の推進事業」として、
1、共食の場における食育活動
2、食文化の保護・継承や日本型食生活の実践のための取り組み
3、農林漁業体験の機会の提供
を行っています。

2023年10月に、農林漁業体験として、3つの体験ツアーを企画・実施しました。
①福島県二本松市での農業体験
②山形県天童市での農業体験
③宮城県南三陸町での漁業体験

今回は第1弾として開催した農業体験の様子になります。

10月9日(月)はスポーツの日で祝日でしたが天候はあいにくの雨模様となりました。
当初予定していた稲刈りはできませんでしたが、古き良き農村の文化が残る二本松市東和地区において「農家体験・郷土料理・昔の遊び」に触れることで、伝統的な食文化、郷土の暮らしを楽しむことができました。

今回の農業体験では、農家民宿「遊雲の里」を営む菅野正寿さん「NPO法人がんばろう福島、農業者等の会」の齋藤登さんに大変お世話になりました。

福島県、東和の布沢棚田は、2022年「つなぐ棚田遺産」に選定されました。
安達ヶ原から旧東和町に向かう県道62号のバス停長沢あたりの脇道から谷筋に1kmにわたり長細く続く棚田があり、入り口で天女が出迎えてくれます。
棚田にはビオトープなどがあり、そこに暮らす人々が棚田を大切にされていることがうかがえます。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/36045b/tanada-shoukai-nihonmatsu-ohta.html


最初に、ビニールハウスのトマトの片づけ作業を行いました。
夏に旬のトマトは秋になると枯れてしまいます。ハウス2軒分のトマトの木を根っこから抜いて、ハウスの外へ運び出しました。
まだ食べられそうな実を見つけ、味見をしながら皆で作業すると、あっという間に大きなハウスは空っぽになりました。
途中、トマトを投げ合ったり、滑って転んで泥だらけになりながらも、楽しんでお手伝いすることができました。

また、案山子(かかし)作りにも挑戦しました。
実在の人をイメージしながら作ったリアルな案山子は「布沢棚田の芸術祭・案山子コンテスト」に出展してくださるそうです♪
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/598797.pdf

続いて、隠津島神社の参宿所に移動し、郷土料理の昼食をいただきました。
寒い日だったので、だんご汁で身体も暖まりました。
トマトのサラダ、おこわのお握りの他、桑の葉100%のお茶は珍しく、ほんのりと甘くて美味しかったです。

午後からは、東和の人間国宝とも言われている東和の語り部、紺野雅子さん(通称まさこばっぱ)による昔話と昔遊びを行いました。
味のある福島弁で語る昔話、世界観、魅力的な人柄に引きこまれてしまいました。

参加者のアンケートでは、
育てるだけでなく片付けも農家の仕事であることから、農家の大変さを感じるとともに、食べ物に感謝したい、という感想が多くありました。
また、トマトの見分け方を知ることができた、伝統食や野菜の美味しさを再認識した、という感想もありました。

他にも、子どもと一緒に参加した保護者からは、
「初めての稲刈りを楽しみにしていましたが天気には勝てず残念。トマトの苗の片づけも初めての体験かつ、なかなかできることではないのでとても貴重な体験だったと思います。」

「ふだん野菜はスーパーで買うだけなので、収穫や片付けがあんなに大変だと思わなかったです。子どもたちに色々な体験をしてもらえたので食べ物を残さなくなるといいです。」
といった感想がありました。

親子で「食」「昔の遊び」になどに触れながら普段とはまた違った会話ができたようにも感じます。
農業、漁業体験を通じて食文化、食生活の大切さを改めて見直すきっかけになれればと思います。